A.T. Kearneyの選考過程に挑んだN.Nさんの体験記は、世界的に著名な経営コンサルティングファームの採用プロセスへの洞察を提供します。N.Nさんは、慶應義塾大学理工学部卒の31歳で、日系メーカーの経営企画部での豊富な経験を背景に持ちます。彼の選考体験記は、自己紹介から始まり、彼のキャリアビジョン、そしてケーススタディに至るまで、彼の思考過程と戦略的アプローチを詳細に追います。彼の回答は、ロジカルシンキングと深い業界理解を示し、これからA.T. Kearneyの選考を控える人々にとって、非常に有益な洞察を提供します。
A.T. カーニーは1926年に米国シカゴで創立された世界有数の経営コンサルティング会社
高度な専門性、目に見える成果の実現、顧客企業との密接な協働作業を最大の強みとし、現在では、世界41の国と地域、71拠点に、約5,300名のスタッフとグローバルネットワークを擁しています。あらゆる主要産業分野のグローバル1,000社や各国の大手企業や政府系機関等を中心顧客とし、戦略からオペレーション、ITにいたるまで一貫した高品質のサービスを提供しています。
日本国内においても金融、通信、ハイテク、自動車、消費財・小売をはじめとする幅広い分野において、顧客への貢献という強い決意のもと活発な活動を行っています。
1926年の創業以来、世界の一流企業のアドバイザーとして信頼されています。
拠点所在地
アメリカ
アトランタ、ボゴタ、ボストン*、カルガリー、シカゴ、ダラス*、デトロイト、メキシコシティ、 ミネアポリス、ニューヨーク、サンフランシスコ、サンパウロ、トロント、 ワシントンDC*
ヨーロッパ
アムステルダム、ベルリン、ブリュッセル、ブカレスト、コペンハーゲン*、デュッセルドルフ、ヘルシンキ、リスボン、リブリヤナ、ロンドン、マドリード、ミラノ、ミュンヘン*、オスロ*、パリ、プラハ、ローマ、ストックホルム、ウィーン、ワルシャワ、チューリッヒ
中東・アフリカ
アブダビ、ベイルート、ドーハ、ドバイ、イスタンブール、ヨハネスブルグ、リヤド
アジアパシフィック
バンコク、北京、バンガロール、香港、ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、メルボルン、ムンバイ、ニューデリー*、ソウル、上海、シンガポール、シドニー、台北、東京
*は複数拠点
(2023年8月現在)
A.T. カーニー株式会社
開設
1972年
日本代表
従業員数
約270名
日本オフィス
〒107-6223 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー23階
Tel. 03-6890-5001 Fax. 03-6890-5040
中途採用フローと面接内容
- 書類選考
- 適性検査
- 一次面接
- 最終面接
面接内容(特定を避けるため抽象化しています)
応募者プロフィール
N.Nさん
年齢: 31歳
学歴: 慶應義塾大学 理工学部
職歴:日系メーカー勤務 経営企画部
家族: 独身
年収: 900万円
面接内容
面接官:ありがとうございます。さっそくですが、自己紹介と現在のお仕事について教えてもらえますか?
応募者:はい、よろしくお願いします。私は慶應義塾大学理工学部を卒業後、日系メーカーで経営企画部に所属しています。主にグローバル市場進出戦略の立案やコスト削減プロジェクト、新製品の開発と市場投入、さらにはデジタルトランスフォーメーション戦略の策定に携わってきました。特に、新規市場における販売チャネルの確立やパートナーシップ構築、生産プロセスの効率化など、幅広い経験を積むことができました。
面接官:すごい経験値ですね。どんなプロジェクトでもバリバリこなしそうですが、実際のところはどうでしたか?
応募者:ありがとうございます。もちろん、難しい局面もありました。特に新市場進出の際には、地域ごとの文化やビジネス慣習の違いに苦労しました。しかし、それらを乗り越えることで、より柔軟な思考と対応力が身についたと感じています。
面接官:なるほど、そういった経験があると、うちの会社でも活躍できそうですね。それでは、A.T.Kearneyに応募された動機を教えてください。
応募者:はい。私はこれまでの経験を生かし、より大きなフィールドでチャレンジを続けたいと考えています。A.T.Kearneyは幅広い業界に対して、戦略から実行までトータルでサポートしている点に大きな魅力を感じています。また、グローバルで活躍するプロフェッショナルたちと共に働き、自身のスキルをさらに磨きたいという強い意欲があります。
面接官:確かに、うちの会社では様々なチャレンジが可能ですよ。応募者さんのキャリアビジョンについても教えていただけますか?
応募者:将来的には、企業が直面する複雑な課題を解決し、持続可能な成長を実現できるような戦略コンサルタントになりたいと考えています。特に、デジタル化やグローバル化が進む中、これらの変化を企業の競争力向上につなげることができるような提案ができるようになりたいです。
面接官:それでは、ケース面接に移りたいと思います、「日本にはコピー機が何台あると思いますか?」という問題に対して考えてみてください。
応募者:はい、このタイプの問題に取り組む際には、まず市場を構成する要素を分解して考えることが重要です。日本におけるコピー機の総数を推定するためには、オフィス、学校、公共施設、小売店など、コピー機が設置されている場所を特定し、それぞれの場所におけるコピー機の平均台数を推定する必要があります。
まず、日本のビジネス市場に注目すると、日本国内には約330万の企業が存在するとのデータがあります。これらの企業の大半は中小企業であり、1つのオフィスに平均して1~2台のコピー機があると仮定します。特に大企業や多国籍企業では、複数の部署やフロアごとにコピー機が設置されている場合もありますので、このセグメントでは平均台数を3台と見積もります。したがって、ビジネス市場全体で見ると、約660万台から990万台のコピー機が必要になると推定できます。
次に、教育市場に目を向けると、日本には約3.4万の小中高校があり、さらに大学や専門学校なども含めるとその数はもっと増えます。学校ごとに平均して5~10台のコピー機があると仮定すると、教育市場全体で約17万台から34万台のコピー機が存在することになります。
公共施設について考えると、市町村役場、図書館、コミュニティセンターなど、全国に数万の公共施設があり、これらの施設にも少なくとも1台以上のコピー機が設置されていると考えられます。全国の公共施設の数を30,000と仮定し、各施設に平均2台のコピー機があるとすると、60,000台のコピー機が必要になります。
最後に、小売業やサービス業など、その他の市場も考慮に入れる必要があります。これらのセグメントでは、店舗やオフィスごとに少なくとも1台のコピー機が設置されていることが一般的です。日本国内には約130万の小売店舗があるとされていますので、これらの店舗で少なくとも130万台のコピー機が使用されていることになります。
これらの推定を総合すると、日本国内には約800万台から1200万台のコピー機が存在する可能性があると考えられます。ただし、この数字はあくまで推定であり、実際の数字はオフィスや学校、公共施設の実態、およびデジタル化の進展度合いなどによって変動する可能性があります。
面接官:非常に詳細な分析、ありがとうございます。では、「日本の家電メーカーの業績を向上させるにはどうしたらいいですか?」について深堀りしてみてください。
応募者:日本の家電メーカーの業績を向上させるためには、複数の戦略が考えられます。まず、市場のトレンドと消費者のニーズを把握し、それに応じた製品開発を行うことが重要です。近年、消費者は単に機能性だけでなく、デザイン性、環境への配慮、健康やウェルネスへの貢献など、製品に対してより高い要求を持っています。
環境への配慮に関しては、エネルギー効率の良い製品、リサイクル可能な材料の使用、長寿命設計など、サステナビリティに配慮した製品開発が求められます。たとえば、省エネ性能が高く、かつ性能を維持しつつ長期間使用できる冷蔵庫や洗濯機の開発は、環境意識の高い消費者に受け入れられやすくなります。また、製品のパッケージングにおいても、プラスチック使用量の削減やリサイクル可能な材料の使用が重要です。
デジタル化とコネクテッドデバイスのトレンドに対応するためには、IoT技術を活用したスマート家電の開発が不可欠です。たとえば、スマートフォンや音声アシスタントと連携し、遠隔操作や消費データの分析が可能な製品は、便利さと新しい体験を消費者に提供できます。これには、製品自体の技術革新だけでなく、クラウドサービスやアプリケーションとの統合も重要になってきます。
また、健康とウェルネスへの関心の高まりを受けて、空気清浄機、加湿器、ウォーターサーバーなど、健康や快適な生活環境に貢献する製品の開発も重要です。これらの製品は、特に都市部や高齢化社会において需要が高まっています。
さらに、海外市場における競争力を高めるためには、グローバルな視点から製品開発とマーケティング戦略を構築することが重要です。地域ごとの文化や生活習慣、経済状況を考慮した製品ラインナップや価格設定が求められます。たとえば、新興国市場では価格競争力の高い基本機能に特化した製品が好まれることがありますが、先進国市場では高機能で付加価値の高い製品が求められます。
これらの戦略を通じて、日本の家電メーカーは国内外の市場での競争力を高め、業績向上を図ることができると考えられます。
面接官:非常に包括的な分析で、業界の深い理解を感じます。では、「インドカレー屋が海外進出を計画している場合、どのようにマーケティングすべきか?」についても、詳しく教えてください。
応募者:インドカレー屋の海外進出においては、まずターゲットとなる市場の文化的背景と食文化を深く理解することが最も重要です。海外市場における食の嗜好は多様であり、成功の鍵は現地のニーズに合ったメニューの提供と、ブランドの適切なポジショニングにあります。
まず、メニュー開発においては、現地の食材を活用したり、辛さのレベルを調整するなど、現地の味覚に合わせた工夫が必要です。特に辛さに敏感な地域では、マイルドなカレーや子供向けメニューの提供が効果的です。また、ベジタリアンやビーガンなど、特定の食事制限を持つ顧客層に対応するためのメニュー展開も重要です。これにより、幅広い顧客層にアピールすることが可能になります。
マーケティング戦略としては、ブランドストーリーやインド文化の魅力を前面に出したプロモーションが効果的です。店舗のデザインや内装にインドの伝統的な要素を取り入れることで、顧客に特別な体験を提供し、ブランドの差別化を図ることができます。また、インドの祭りや文化イベントと連動したキャンペーンを行うことで、現地の顧客とのコミュニケーションを図り、ブランドへの関心を高めることができます。
SNSやデジタルマーケティングの活用も欠かせません。インスタグラムやFacebookなどのプラットフォームを通じて、魅力的な料理の写真や動画、顧客の口コミを共有することで、ブランドの認知度を高めることができます。特にビジュアルに訴える料理の写真は、SNS上でのシェアを促進し、口コミ効果を高めることができます。
さらに、現地でのパートナーシップの構築も重要です。現地の食品卸売業者やレストランチェーンとの連携を図ることで、供給網の確立や販売チャネルの拡大を図ることができます。また、現地のイベントやフェスティバルへの参加を通じて、ブランドの露出を高めるとともに、現地の顧客との直接的なコミュニケーションを図ることが可能です。
このように、現地の市場環境と文化に深く根ざしたマーケティング戦略を展開することで、インドカレー屋は海外での成功を実現できると考えます。
面接官:非常に詳細で具体的な提案、ありがとうございました。インドカレー屋の海外展
開に関しても、明確な戦略が見えてきます。今日は貴重な意見をたくさんいただき、大変感謝しています。最後に、何か質問はございますか?
応募者:いえ、今日はとても充実した議論ができました。この機会をいただき、本当にありがとうございました。
終わっての感想と対策
面接を終えて、正直なところ結構いい感じだったと思います。特にケーススタディの部分では、かなり具体的に数字を交えて話すことができたのが自分でも良かったと感じています。例えば、日本にあるコピー機の台数を推定する問題では、企業数や学校、公共施設などをベースにして、かなり細かく計算してみました。あれだけ詳しく話せたのは、以前からこういうロジカルシンキングのトレーニングをコツコツとやってきたおかげかなと。
家電メーカーの業績向上については、エコ製品やスマート家電、健康志向の製品など、今のトレンドをしっかり捉えた上での提案ができたと思います。ただ、もしかしたらもう少しデジタルトランスフォーメーションの部分を強調しても良かったかなと思ったりもします。インドカレー屋の海外展開に関しては、現地の文化や食習慣を重視する姿勢を示せたのは良かったと思いますが、もうちょっとマーケティング戦略をブレイクダウンして話せたらなお良かったかもしれません。
自己紹介やキャリアビジョンの部分では、もっと自分の強みやこれまでの経験を生かせるポイントをアピールしても良かったかなと思います。経営企画部での経験はかなりアピールできたと思うんですが、その中で培った具体的なスキルや成功体験をもう少し詳しく話せたら良かったですね。
全体的には、準備してきた内容をしっかり話すことができたと思いますし、面接官の反応も悪くなかったと感じています。でも、やっぱりいざ終わってみると、「あそこはもっとこう話せばよかった」なんて思うところもいくつか出てきますね。でもまあ、全体的には自分の言いたいことは伝えられたし、良い経験になったと思います。これからのフィードバックが楽しみです。